INDUSTRIAL(インダストリアル)は「産業の/工業の」という意味です。工業化社会における効率・合理主義はたしかに我々の生活を便利にしましたが、そのなかで失われたものに目を向けたことはあるでしょうか?
本作品では、工業化のもたらしたDUST(ちり、ごみ)部分にあえてハンドメイドの一点物プリントを施し“工業化による大量生産・大量消費社会”と逆の意味をもたせる事で、社会に対するアンチテーゼを表現しました。そこには、より安価な素材や労働力の希求、生産技術の安易な機械化といった、現代のものづくりを取り巻く環境への違和感や皮肉の意味が込められています。
インダストリアルは音楽のジャンルでもあり、『インダストリアル・ロック』『インダストリアル・テクノ』などがあります。インダストリアル・ミュージックは単に音の表面上の区別だけでなく、アートやカルチャー、思想にまで踏み込んだジャンルです。音楽的常識からは楽器と見なされない機械音などのノイズに耳を傾けた美学や、本作品と同様に「工業生産される大衆音楽」へのアンチテーゼなどが込められています。
インダストリアルに対するアンチテーゼは決して悪口や否定ではありません。プリントにつかうTシャツボディはミシンをつかい効率的に製造されています。紡績から完全に手作業でTシャツをつくるとなったらTシャツでさえ数万円でも購入できないでしょう。大量生産社会は我々に確かに恩恵を授けています。リスペクトも込め、大げさに言うと問題提起をしてみたいと思い、この作品をつくりました。『DUST』部分のプリント作業は正解がなく、人間がもつ『感性』を使い生まれる作品です。厳格なルールが決められていて正解がありそこから逸脱したものは不適合として扱われる一般的なプロダクトとは真逆です。アンデトローゼの『感性』に触れてみてください。